新薬のニュースについて思うこと
メディアでALSの進行を遅らせる薬の臨床試験を開始したとか、慢性骨髄性白血病の治療薬として知られるボスチニブを投与したら、一部の患者で進行が止まったと報道されると患者全員にあてはまるかのように錯覚し、過大な期待をしてしまうんですね。
わたしの場合は5、6年前にテレビ報道でHGF,ペランパネルなど進行抑制薬が既存の薬品エダラボンと比べると有効性が高いと知ったときは期待が大きかったです。
5年待てば病気の進行が止まるかもしれない。気管切開しなくてもいいと勝手に思ってました。
しかし、治験が終了しても実用化されるまでまだ先のようでした。
待っている間に気管切開し人工呼吸器をつけて自力で体位も変えられない体になってしまいました。
わたしの知っている患者さんでIPS細胞に過大な期待を寄せていた方がいらっしゃいました。
その方はIPS細胞研究所への国家予算を増やしていただくために署名活動に奔走され、厚生労働省へ出向いて直接陳情されてました。
活動されていたことが新聞(地元紙)にも掲載されました。その後人工呼吸器を着け全身麻酔になられても頑張ってみえたと聞きました。
しかし、残念なことに先日亡くなられました。
8年間どんな思いで待っておられたのでしょうか。それを思うと胸が締め付けられます。
ALSはSMAやパーキンソンと比べると進行が早いのが特徴です。
重度障害者となったわたしは新薬誕生のニュースについて希望を持ちながらも過大な期待をもたないように考えています。
コロナ禍でも大学医学部付属病院などで休まず研究が続けられていると聞き、研究に携わっていらっしゃる方々には頭が下がります。
しかし、予算が少なく環境が十分整っていないようです。実用化されるまでにはもう少し待つことになるでしょう。
ALSが難病でなくなる日は必ず来ます。しかし、わたしの勝手な推測ですが、10年以上はかかるような気がします。
その時まで待って障害が少しでも回復したら、どんなに幸せでしょうか。
家族、スタッフさん、友人、そして同じ病気と闘ってきた仲間と喜びを分かち合えたら、、、。
喉頭気管分離しているので声が戻らなくてもいい。
軟らかい食べ物が少しだけでも食べられたら、、、。
上下肢が動いて歩けるようになったら、、、。
夢に終わりそうですが、その日がくるのを見届けたい気持ちはありますね。
今は目の前の現実問題と向き合うことが大事だと考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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