難病ALSと闘う inayan777のブログ

私は現在ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病と闘っています。この難病は10万人に1人と言われる原因不明の神経性難病です。今から100年以上も昔に発見された病気ですが、現在の医学では治すことができないのです。症状の進行は驚くほど速く、発症して1年3ヵ月後に胃瘻を造設して、その4ヶ月後には両肩関節機能全廃となり、身体障害者手帳3級(現在1級)になりました。介護認定も行っており要介護5になりました。このブログでは発症してから現在までの経緯や日々進行していく身体の変化、日常生活の様子、現在感じていることなどをご紹介していきたいと考えています。私は同じような難病や病気と闘っていらっしゃる方々と共にこの難病と闘い、絶対に乗り越えていこうと思います。また、この難病に少しでも関心をもってくださっている方々からもアクセスしていただければ大歓迎です。日々進行していく病気との闘いとの恐怖の中で、心だけは絶対に負けないように生きていこうと思います。ともにがんばっていきましょう!!

カフとパイロットバルーンについて

ALS患者の大先輩でご活躍されているNさんがFacebookに投稿された体験報告は凄く勉強になりましたのでご紹介します。


気管カニューレのアクシデントについて書かれていましたので、気管カニューレの中で重要な役割を担っているカフとパイロットバルーンについて少し触れさせていただきます。




気管カニューレ下部の先端にある風船状のものがカフで、その左にあるのがパイロットバルーンです。


 カフとは気管チューブの先端にある風船状のもので、パイロットバルーンから空気を注入して膨らませて調整をします。
 カフの役割は以下の とおりです。
➀ 気管壁に密着していてリークを防止し、陽圧換気を維持する
② 上気道からの分泌物等が逆流した際に気管への垂込みを予防する
③ カフ圧上部に貯留した分泌物がカフと気管壁の隙間から侵入すると誤嚥性肺炎の原因となる


Nさんの気管カニューレのアクシデントは、カフが破損して空気が肺に送り込まれなくなってしまったのです。1時間程度の自発呼吸ができたので、医師を呼んで無事気管カニューレの交換が終わりました。


ALSを発症すると呼吸機能が侵され、24時間人工呼吸器を装着しないと生きていけない人が多いのですが、Nさんは日々の呼吸リハビリを怠らず、発症して20年経った今も人工呼吸器を1時間位外しても大丈夫なのです。


私ならカフに破損があればパニックになってしまいます。Nさんは非常時に備えて教えていたPAさん(ヘルパー)がいるので、カニューレ交換を依頼する方法もありましたが、沈着冷静な判断で医師の到着を待つことにして、なんと食事をはじめられたのには驚きました。




気管カニューレは切開部から喉へはめこまれてますが、パイロットバルーン(写真右)とサクションチューブ(写真左)はカニューレと管で繋がって切開部から体外に出ています。


わたしは気管切開して6ヶ月が経ちますが、パイロットバルーンとカフを繋ぐ管が細いので何処かに引っ掛けて千切れることがないか気になっていました。


Nさんの場合はパイロットバルーンに穴が開いていたので、カフに空気が送り込まれませんでした。


転倒したり、体に何かがあたって、パイロットバルーンが破損することは誰にでも起こり得ることだと思います。

わたしの場合は自発呼吸ができますが、痰がカフ圧上部に多く溜まります。カフが膨らまなかったら、痰が肺へ流れて極めて危険な状態に陥るので、想像しただけでゾッとします。




昨日はちょうど気管カニューレの交換日だったので、早速往診医に相談したら、アクシデントが起きて医師や看護師の到着が遅れた場合を想定すると、家族も知って置いた方がいいと仰って妻に説明して下さいました。


ヘルパーさんもその場にいましたが、気管カニューレの内部構造を見たのは初めてだったので勉強になったと満足そうでした。
今回の気管カニューレ交換は生きた教材を見ながらの良い勉強会になったようです。





最後までお読みいただきありがとうございました。