難病ALSと闘う inayan777のブログ

私は現在ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病と闘っています。この難病は10万人に1人と言われる原因不明の神経性難病です。今から100年以上も昔に発見された病気ですが、現在の医学では治すことができないのです。症状の進行は驚くほど速く、発症して1年3ヵ月後に胃瘻を造設して、その4ヶ月後には両肩関節機能全廃となり、身体障害者手帳3級(現在1級)になりました。介護認定も行っており要介護5になりました。このブログでは発症してから現在までの経緯や日々進行していく身体の変化、日常生活の様子、現在感じていることなどをご紹介していきたいと考えています。私は同じような難病や病気と闘っていらっしゃる方々と共にこの難病と闘い、絶対に乗り越えていこうと思います。また、この難病に少しでも関心をもってくださっている方々からもアクセスしていただければ大歓迎です。日々進行していく病気との闘いとの恐怖の中で、心だけは絶対に負けないように生きていこうと思います。ともにがんばっていきましょう!!

今回のレスパイト入院②

声を失った患者が意思を伝えるには意思伝達ツールが必要です。動かなくなった手足はヘルパーさんが代わりになってくれます。

入院中もヘルパーさんが入れますが、コロナ禍のため交代で入れるヘルパーさんが4名までに制限され、ヘルパーさん不在の時間が幾つか生じてしまいました。





その中でも最も長いのが25日9時から26日17時半までの32時間でしたが、何とか乗り越えることができました。


23日に入ってくださったヘルパーさんが、急きょ25日の午後に3時間来てくださったのでヘルパーさん不在が24時間に短縮され助かりました。



予定に入ってなかったことがもう一つありました。25日の朝、しばらく会ってなかった娘が突然見舞いに来てくれてたのです。
ところが、数分後面会を受付けた看護師さんが入ってきて、コロナ禍のためヘルパーさん以外は面会できないと言われわずか10分程度で帰っていきました。😢





この24時間を乗り越えるための最大の難関は摘便でした。
予め掲示しておいた連絡事項の一部です。


・前夜ラキソベロンを入れてから11~12時間後に薬が効いてきます
・力む時にお腹(大腸)の上をぎゅっと押していただけると助かります
・一度に出せないので、途中7分位休憩を入れてください
・浣腸なしで出せますが、出ない時は半分又は1/3を入れてください


などを書いて万全を期したつもりでしたが困ったことがありました。


看護師さんも連絡事項をしっかり読んでくださってましたが、途中で7分休憩を入れますかと聞かれた時はパソコンを打てる姿勢ではなかったので困ってました。



私は口パクで伝えようとしても、「苦しいの?」とか「どこか痛いの?」とか全く違うことを聞かれました。



そんな時一人の看護師さんが私が用意した透明文字盤を取り出して読み取ってくれたのです。

「どれくらい」と5文字を読み取ってもらえたことで、看護師さんには私が何を聞きたかったのかわかってもらえました。

看護師さんから返ってきた言葉を聞いて、更に「7分の休憩しますか?」と聞かれたので、目を横へ動かして「いいえ」と答えたので、摘便終了を伝えることができました。






透明文字盤を文章で読み取れるようにするには少し練習が必要ですが、短い言葉を読み取ってもらえるだけでも意思が伝わることもあります。



例えば、左側臥位の姿勢の時に透明文字盤で「よだれ」と3文字読み取ってもらえれば、口から唾液がこぼれているのがわかるので、左側の口角や顎など拭いてもらえます。



看護師さんにとってもロスタイムを少なくできますので、透明文字盤を是非覚えていただけたらと思います。

忙しいので覚える余裕がないのではなくて、要はやる気の問題ではないでしょうか。






1年前は気管切開手術してましたが、介助があれば家の中を歩き回ってましたので、排泄は何があってもトイレでおこない、摘便なんて絶対にしないと決めてました。
1年後の今の生活を想像したこともありませんでした。


今年2月にトイレ使用禁止を通告された時は本当にショックでしたが、頑張って見える先輩患者さんも乗り越えてきたこと。生きていくためには他に選択肢がないと自分に折り合いをつけました。






今回も皆様へ不快感を与える表現がありましたことお許しください。








最後までお読みいただきありがとうございました。

今回のレスパイト入院①

今回のH病院入院は10回目になりますが、入院を重ねるごとに身体の不自由が増しつらいです。
今いる所は重度障害者専用病棟なので看護師さんは超忙しいですが、一生懸命動かれてます。



わたしのように声が出ない患者はナースコールしても、意思が伝えられないと本当に辛いですし、看護師さんも足止めされて他の部屋へ回れなくなってしまいます。



幸いにも両足でパソコン入力し定型文を音声で出してますので仰臥位の時はいいですが、排泄で側臥位の時はイエス、ノー以外は伝えられないので苦労してます。




予め伝えたいことを壁に掲示しますが、十分に伝わらない時はパソコンで捕捉説明してます。




パソコンが打てない姿勢の時に予期しないことが起きると大変です。


一番困ったのは看護師さんが尿器をあてたまま出ていかれた後で漏れてしまったので、排尿を我慢しナースコールしました。
シーツを取り替えていただけましたが、尿器を片付けられてしまいそうになりました。
あとでパソコンを打てる姿勢に戻ってから、まだ途中だったことを伝えられてホッとしました。



今回の入院は私の介護に疲れ気力を失ってしまった妻を休ませるためのレスパイト入院なので、我慢してがんばるしかありません。



医師からすべてに時間を費やせないので、何を最優先するのかと聞かれ、摘便を最優先していただきたいとお伝えしました。
ただし、その他のことについては以下のように決定しました。


① 朝の栄養は6時以降だったのを4時半~5時へ変更する
② 口からの唾液吸引介助はおこなわない
③ 喉頭分離しているので気切吸引は頻回に行わない
などなど


色々制限がありますが、コロナ禍でも看てもらえることを思えば何も言えませんね。



幸いにもわたしの場合はヘルパーさんが、全体の半分近い時間入ってくださってるので本当に助けられてます。
ヘルパーさんには清拭、体位変換、口から溢れた唾液のふき取り、目鼻ふきなど在宅でやってることをそのままやっていただけるので有り難いです。
洗濯も頼んでますので妻は1日も来なくてすみます。



入院中最大の難関は25日朝~26日夕刻までの32時間ヘルパーさんがみえないことです。入院から2週間なので看護師さんが少し慣れてくださってると思いますが不安です。



文字盤がつたわらないので、パソコントラブルでも起きたら最大のピンチです。

何も起きないことを祈るのみです。
妻の体調が少しでも良くなって退院ができる日を待ってます。





皆さまへ不快感を与える表現がありましたら、お許しください。



50歳半ばまで健康に不安もなく、普通に通勤し仕事をしてましたので、まさか自分がALSを発症するなんて⁉




そうなんです。ALSは原因がわからないので誰にでも起こりうる病気なのです。







最後までお読みいただきありがとうございました。

お読みいただきありがとうございます

ブログを始めて2年くらいは備忘録のつもりで書いてましたが、ある時高校時代の友人Tやんから戴いた年賀状にブログをみてるよと書かれていたのでビックリしました。

ブログを書いてることも伝えてないですし、名前も公表していないのにどうしてわかったのか? 

不思議でした。


その後お世話になっている調剤薬局の方からもブログ見てますと妻から聞きました。



内容はともかく読んでくださる人がいると思うと勇気づけられますね。


2年前に患者会で同じALS患者さんで診断を受けて間もない方からブログ見てますと言われた時も、信じられませんでした。
人違いではと思いました。とても勇気づけられ嬉しかったです。






この病気は情報戦ですので、SNSから多くの情報を収集されるのが有効だと思いますが、その中の一つとしてお伝えできたらと考えてます。




人工呼吸器を装着するかどうかは、生か死のどちらを選択するかの分岐点です。

生活環境なども考えないといけません。

医師から結論を出すように言われても決断できません。
過酷すぎます。





私は人工呼吸器装着を選択しましたが、気管切開してからの療養生活が人によって様々であることを考えますと、人工呼吸器の生活をお勧めするつもりはありません。


しかし、発症して浅い患者さん、ご家族へ体験談をお伝えして参考にしていただければと考えてます。




人工呼吸器そのものは呼吸がとても楽で苦痛はありません。



日本の法律では一度装着すると外せないことが、人工呼吸器を装着をするか否か患者の意思決定の一つになってます。
なお、呼吸器を装着しても、肺に力があり夜間しか着けない患者さんもいらっしゃいます。このように呼吸器を一時的に外すのは脱着であり、装着に変わりありません。







読者の皆様が不快な思いをされないことへも配慮した上で、できるだけ具体的にわかりやすく心掛けようと思います。






この病気は誰にでも発症する可能性がある進行性難病ですので、健常者の皆さまにも関心を寄せていただければ幸いです。






最後までお読みいただきありがとうございました。

痰吸引対策

昨年3月に気管切開手術、11月に気管喉頭分離手術したことで、上気道の閉塞や誤嚥性肺炎のリスクがなくなりました。




気道閉塞で起きる呼吸の苦しさもなくなり、2020年を迎えることができました。

しかしながら、痰が多いとは予想外でした。




気管切開するまでは口から唾液を鼻から鼻汁を吸引してましたが、手術後は切開した喉からの痰吸引が必要になり、また、口からの唾液吸引のために24時間吸引カテーテルをくわえる生活は以前と変わりません。



気管切開手術後、医師から喉からの痰は落ち着いたら少なくなると言われてました。

また、気管喉頭分離手術の時には気管カニューレをアモレ(自動痰吸引器)が使えるメーカーの製品を希望したら、医師から痰の量が減るのでアモレは不要ですと言われ、病院と取引があるメーカーの製品を装着しました。




これが気管カニューレです。



指で持っている羽根のような部分から先が喉の中へ入ります。手術後6ヵ月で交換するまでこの大きさとは知りませんでした。違和感ありません。





確かに手術後2週間位は吸引回数が以前の半分に減りましたが、その後は増えていき現在も1日20回位吸引しています。
痰が溜まった時はボコボコ鳴りすごい音です。

睡眠中は少ないですが、夜中も2~3回起きて吸引しています。





ALS患者が皆さんそうではありません。
痰吸引が多い人もいれば少ない人もいます。

唾液吸引も私のように常時吸引カテーテルをくわえている人やくわえなくてもいい人と様々です。




この難病は患者の神経細胞に異常なタンパク質が蓄積されるのが原因の一つといわれてますが、異常なタンパク質の発生原因とそれを未然に防ぐ方法は究明されてません。

ALSを発症すると筋肉が痩せていき、四肢が麻痺し呼吸不全になりますが、進行の順序や速さは100人患者がいると100人とも違うといわれるくらい様々です。


なので専門医もわからないことが多いのです。


手術後の状態が手術前の説明どおりにいかないこともあります。

逆に言えばALSはそれほど大変な病気なのです。



この病気は情報戦です。
医師の他にリハビリ、ヘルパー、ALS協会、SNSなど多方面からの情報収集が大事です。




6月のレスパイト入院で作業療法士さんから貴重なことを教わりました。

仰臥位でずっと寝ていると痰が肺の背中の方にも溜まり、蓄積すると気道閉塞を起こし危険な状態になります。

それを防ぐために車椅子移乗をしたり、毎日側臥位の姿勢を30分以上とり、そのままの姿勢で胸郭を押し呼吸介助もやるといいと仰いました。




在宅でも作業療法士さん、理学療法士さんの訪問リハビリを受けてますが、呼吸介助は全て仰臥位で行っていました。



退院後は入院中に撮った側臥位での呼吸介助の動画を、訪問リハビリスタッフに見せて横展開をしています。



訪問リハビリのない日はヘルパーさんに頼んで、左右15分ずつ側臥位の姿勢にしてもらってますが、肺の中の痰が動くのでよく取れるようになりました。




側臥位の姿勢の大切さを教えてくださった病院の作業療法士さんには感謝の気持ちで一杯です。







最後までお読みいただきありがとうございました。

足が命綱です

生活リハビリだった歩行や立位を止めさせられてから足の筋力低下が加速しています。

足首の背屈は殆どできなくなり、脛の疲労が強く、足指が曲がり、パソコンは休みながら時間をかけないと打てません。



パソコンが打てなくなり意思の伝達ができなくなったら、患者の意に沿わないことをされてしまうことが恐怖です。



現在は一字打つごとに音声が出る文字盤を足で打ってますので、皆さんパソコン画面を見てくださりゆっくりですが、ほぼ正確に意思を伝えられてます。




医療スタッフさんで視線入力に変えたらと簡単に仰る方がいますが、ご自身で体験したこともないのにと少しがっかりしました。


視線入力は現行の足入力と比べると打つ速さが数倍遅くなるので長い会話や長文で思いを伝えることが難しくなります。



なぜそんなに遅くなるのか?
ワンタッチになってしまうからです。

視線入力に変えてどんなに早く打てるようになっても、現在の足入力の早さには及びません。
現在は左右両方の足でカーソルと決定を同時に行っているからです。




足で操作が難しくなれば視線入力になると思いますが、できるだけ長く足の機能を維持したいです。



私にとっては足入力が命綱です。
私にとって足が動かなくなるのは単なる足の麻痺ではないのです。



私は医師、訪問看護師、リハビリスタッフ(作業療法士・理学療法士・言語聴覚士)、鍼灸師、ヘルパー、ケアマネージャーと多くの方々に支えられてますが、身体の介護でいつもそばにいるヘルパーさんの他は一緒にいる時間が短いので、患者の気持ちの変化を見るのは難しいと思います。



トイレへの歩行を禁止された翌月の3月頃のことでしたが、脚の筋力低下について悩みを医療スタッフのXさんに打ち明けました。

返ってきた言葉に愕然としました。
「(Inayanさん)は発症してから今まで脚の進行が遅かったのでこれが普通なのです」と言われたので、「それは回答になってませんね」と反論してしまいました。

患者の気持ちに寄り添い考えて出た言葉だったと思いますが、焦点がずれてるように感じました。
その方はその後おみえになってません。
進行性難病ALS患者の気持ちまで理解してもらおうと願うのは無理があるのかもしれませんね。





ALS患者は人によって症状の進行が様々です。

私が知ってるMさんは5年前に気管切開し人工呼吸器を着けてますが、レストランで普通に定食を食べてます。




また、もう一人のMさんは私よりも早く気管切開してますが、スピーチカニューレをつければ以前と変わりなく座位で声が出せます。
しかし、この2名の方は足の麻痺が早かったので歩行は早くからできませんでした。


私は嚥下障害が早くて食べることができませんでした。
また、気管切開しスピーチカニューレをつけましたが、咽頭に溜まった痰を吸引し、背もたれの角度を30度にして何とか声が出せる程度でした。
その上唾液がすぐに溜まるので苦しくなり、20分程度で普通の気管カニューレに取り替えてました。



しかし、足の進行が遅く、気管喉頭分離手術後でもヘルパーさんの介助があれば50m以上歩いてました。



多くのALS患者を看てきたヘルパーさんに聞いた話ですが、私のように足の進行が遅い患者は極めて珍しいとのことでした。



仰臥位で両足が軽々と上がっていたのが、今は重くて上がりなくなり、足指も殆ど動かせなくなると足を使っての生活動作ができなくなり辛いです。



妻の負担も増大してます。
ヘルパーさんが入らない時間に着替えや背中の下へジェルを入れる時は、私が膝を立てて身体を左右に捩じって助けてましたが、今は筋力低下で足腰が上がりにくくなっているので、妻が渾身の力で身体を動かそうとしても動きません。
体力消耗とストレスが溜まってくると度々爆発もします。




訪問リハビリでは手足をストレッチするので関節拘縮を遅らせる効果がありますが、足の運動能力を抑えるのは難しいです。


パソコン入力すると足首や脛の疲労が強烈ですが、置鍼を貼ると痛みをパソコン入力ができる程度に抑えてくれます。



置鍼は深さ1ミリ程度なので、筋肉を傷つけなく痛みも感じません。


疲労感が強くなれば置鍼を貼る数も増えてます。足首から膝近くまで貼ってます。

ブログを続けられるのは置鍼を貼ってくださる鍼灸の先生のおかげと感謝しています。






最後までお読みいただきありがとうございました。